テレビ実演の大いなるマイナス効果
あなたは、テレビでキム式速読法の実演を見たことは、ありませんか?
何度か放映されていますから、関心のある人でしたら、一度や二度は、目にしていると思います。
しかし、まったく見たことがない、という方のために、ちょっとその場面を紙上で再現してみましょう。
司会者が、スタジオに登場した速読のインストラクターに、「これは、発行されたばかりで、まだ一般の書店には出回っていない、つまり、普通の人では、絶対に手に触れる機会のない本です。これを、速読のインストラクターのAさんに、いったいどれくらいのスピードで読めるものか、試してもらいましょう。
それから、ゲストの皆さんに、いったいどんなことが書かれていたのか、後でAさんに質問して確かめていただきます。それでは、Aさん、どうぞ」
こんな調子でA氏なる人物に真新しい本を手渡し、司会者は手にストップーウオッチを用意し、重々しく宣告します。
「用意、スタート」司会者が言うのと同時に、A氏は「めまぐるしい」スピードで与えられた本の頁をめくっていきます。
一頁にっき、せいぜい二分の一秒から三分の一秒といった所要時間で、常識的な人が見たら、とうてい本当に文章を読んでいるとは思われません。
ただ、頁をめくるいたずらをしているだけのように見えます。「はい、そこまで。ストップ」司会者は、一分か二分が過ぎると手を挙げて、A氏の「速読作業」にストップを掛けます。
それから、今度はその本をゲストの所へ持っていき、内容のチェックをさせます。
「それでは、これからゲストの皆さんに、この本の内容についてAさんに質問をしていただきますが、あいにくゲストの皆さんは、速読ができるわけではありませんので、実は、あらかじめ同じ本をお渡しして、読んでいただいてあります」
ほーら、何となく、テレビに特有の、うさんくさい雰囲気が出てきましたでしょう。
(なーんだ、やっぱり、<やらせ>じゃないか……)
と、あなたは思うかもしれません。
速読の実演に「やらせ」はあるか?
何しろテレビ局には、「秘境探検シリーズ」とか銘打って、ぎょうぎょうしい探検隊を人跡未踏の地に送り込んでいるような、さも「もっともらしい」放送をしながら、実は、探検隊が現地で発見した原人の骨は、日本から前もって用意して持参した代物だった、というインチキがバレた、何とも情けない前歴があります。
珊瑚礁に自ら傷を付けておいて、「この珊瑚を傷つけたK・Yとは、誰だ!」と派手に自然保護キャンペーンをやってバレ、世間のヒンシュクを貿って社長の退陣劇にまで結び付いたのが、この局の親会社の朝日新聞ですから、グループ全体にそういう体質が染み着いているのかも知れません。
その他の局でも、<やらせ>のバレたことは、幾度となくあるのですから、常識のある人が<やらせ>の先入観を持ったとしても、当然のことです。
そして、テレビの両面では、あなたが「ほぼ予想したとおりの光景」が進行します。
ゲストたちがA氏に、どんなことが本に書かれていたのかを質問し、A氏はそれにテキパキとよどみなく答え……。
リハーサルでも同しことをやったはずなのに、司会者は、そこで初めて速読を見たように、おおげさに驚き感心してみせます。
「すごいですねえ、いやあ、本当に驚きました。実に大したもんです。どうして、あんなに速く本が読めるんでしょうか? ぜひ、その秘訣を知りたいもんです」
そこで、A氏は、得意げな微笑を浮かべて、「皆さんの中で、速読を習って人たいという方がいらっしゃいましたら………」と、たくさんの人に自分がインストラクターを務めている速読教室の宣伝をし、画面から引き下がります。
ここにおいて、あなたの疑惑は、確信に取って変わります。
(ああ、やっぱり<やらせ>だったんだ。速読教室が、宣伝のためにテレビ局に金を払って、インストラクターを出演させて、いかにも本当そうに、慣れ合いで演技をしているんだ。こりゃあ、新手のCMだ………)
そして、あなたは、「確かに、速読術という技術は存在するだろうけれど、テレビで放映されたほどすごいものではないに違いない。もっとチャチっぽいものだ」
という先入観を潜在意識に固定させてしまうに違いありません。
そして現在、速読法がこれほど実効を上げているにも関わらず、普及が遅々としてはかどらないのは、こういうキム式速読法が撒き散らし、垂れ流した「良識人の先入観を逆なでする」害悪のためなのです。
誤った先人観を与え、普及に与えるマイナス効果が拡大する危険性が非常に大きいので、払ども、ジョイント速読法では、テレビで速読術の見世物芸的な実演をすることに、賛成していないのです。
速読法は誰でも修得できる
テレビで実演された程度の速読のレベルには、実際にば適当な訓練期間と方法とを用いれば、誰でも到達することができるものです。
それなのに、テレビでの実演で、他の修得困難な枝術や芸肖と肩を並べて速読を演じるようなことをやってしまうと、確かに「ヘーえ、速読ってのは、すごいんだ……」
と感心させ、そういう技術がある、ということを素直で純白な一般大衆に知らせる宣伝効果はあります。
しかし、他方で、良識人にはインチキっぽく見せるのと同時に、さも難しそうに見せてしまって敬遠されかねない、という逆効果が考えられます。
そして最大の害悪は、何と言っても、このテレビ実演のせいで、「速読とは、途方もなく速く本を読んで、しかも、その内容を、一言一句の間違いもなく記憶していられる術である」
というように、軽率に思い込ませてしまう、ということです。
速読法の原点は文章を速く読むこと
しかし、速読法とは、要するに文章を速く読むための技術であって、それ以下でも、以上でもありません。
読み終えた本の内容を、一言一句の誤りもなく正確に記憶している、というのは、記憶術という別の技術になってきます。
たとえば、あなたが、通勤あるいは通学の電車の中で読書する習慣を持っていて、平均して三日で一冊の本を読んでいる、とします。
それが、速読法を身につけると、一日で一冊が読めるようになり、一日に二冊が読めるようになり……といった調子で、上達するに従って一冊の本を読破するのに要する時問がどんどん短くなっていきます。
読み終えた後で本の内容についてどれだけ記憶しているかは、本のテーマによっても異なりますし、個人差もあります。
ちょっと、皆さんの場合がどうかを思い返していただきたいのですが、普通の読書の場合で
も、テーマに関係なく、よく記憶している人もあれば、重要な本であっても一度の読書では右から左へ頭の中をスリ抜けてしまう人もあり、ではありませんか?
このように様々ですが、速読して読んだ本に関しても、全く同様です。
記憶力の優れた人は良く内容を覚えていますし、記憶力の悪い人は、それほど覚えていません。
つまり、一冊の本を読むのに要する時間が、単純に短縮されていく技術が速読法なんだ、と考えてください。
この定義は、ごく当たり前のようですが、何度も繰り返すように、キム式速読法に接した人は、誤った先入観と固定観念を速読法に対して植ええ付けられているために、妙な横道の泥沼に落ち込むことが多いのです。
ちょっと疑問に感じることがあったら、必ずこの速読法の原点と定義に立ち返って考え直すようにしてください。
そうすれば、妙なわなにおちいることなく速読法に上達することができます。
それでは、章を改めて速読法の訓練に入っていくことにしましょう。
← 第二章「ジョイント速読法の特性 ④左脳は形状の識別が苦手」へ戻る
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